昨年5月に予定していた眞弓さんの展示会が、
熊本地震により、ようやく一年越しに開催の運びとなりました。
こちらは、熊本にある自宅兼ギャラリー。
落ち着いた暮らしぶりが感じられる、心地のよいお宅です。
まゆみ窯の看板のもとには熊本出身の詩人、坂村真民の
「念ずれば花ひらく」の碑があります。
その碑は、30年修業を積んだ小代ふもと窯にある碑と同じ。
師匠の井上泰秋さんが、つねに心にとめている言葉です。
街から少し離れた山あい。
集落を見おろす坂の上にある自宅兼ギャラリーの
裏手に工房があります。
日夜、轆轤(ろくろ)をひく眞弓さん。
兄弟弟子にあたる小代ふもと窯の井上尚之さん曰く
「轆轤の腕は、日本でも指折りです」
乾燥中の皿。
象嵌(ぞうがん)は、まゆみ窯が得意とする仕事のひとつです。
さまざまな草木が茂る裏庭。
こぶしの花が咲く時季は、ヒヨドリが来て花をついばみ
カンナの花が咲き、蝶が飛ぶ、ものづくりに適した静かな環境です。
眞弓さんの人柄もその作品も
「実直」という言葉が似合います。
控えめながら力強い器は、
ふだんの暮らしでも
きっとよくはたらいてくれるはずです。
まゆみ窯 眞弓亮司 陶展
2017年 5月19日(金) 〜 22日(月) 10:00〜18:30
*眞弓さんは21日(日)午後から来展予定です
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今週の金曜日、3月17日より
「掛谷康樹 練り上げのうつわ展」
を開催します。
掛谷さんとは、2011年からのお付き合いですが
人気の高い作家さんなので
うつわをお願いしても届くまでに、しばらくかかります。
限られた数のうつわの中からご購入くださって
ファンになられたお客さまが多く
掛谷さんの仕事すべてをまとめて見てみたい!
ということで、このたびの展示会が決まりました。
掛谷さんの仕事は、「練り上げ」という技法です。
色の異なる粘土を重ねることから生まれる模様は
ふだん使いとして気負わず使えるうつわであり、
ゆったりと落ち着いた雰囲気も持ち合わせています。
個性がありそうで、
不思議とどんな場面にもしっくりとなじんでしまう。
手にしたときの軽さも特長です。
今回の展示会には
ふだん使いの食器を中心に、さまざまなうつわが並びます。
数々の「練り上げのうつわ」から、どうぞ手にとってご覧ください。
きっとお気に入りを見つけていただけると思います。
掛谷康樹 練り上げのうつわ
2017年3月17日(金)〜20日(月)
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七尾佳洋 作陶展
北海道の陶芸家の印象が強い七尾さんでしたが、
昨年、滋賀県の長浜市木之本へ転居されました。
引越しといっても窯ごとですのでおおごとです。
転居先の木之本は、古い宿場町で昔の町並みが残るところです。
古民家の商家を手直しし、古い蔵が仕事場となりました。
大きく環境が変わり、大変なことも多々あると思いますが、
趣のある家や町を愉しみつつ暮らしていらっしゃるように感じました。
仕事場の蔵
気候も周りの環境もガラッと変わり、
それが作品にどんな様に反映しているか。
以前の作品と比べてみるのも楽しみです。
新しい暮らしや技法などを伺いたく
11月26日(土)15時より
七尾さんによるお話の会を開きます。
ご希望の方は電話で
022-223-6674(仙台光原社)までご予約ください。
25日夕刻より、26日終日は七尾さんが会場にいらっしゃいます。
七尾佳洋 作陶展
2016年 11月25日(金)〜28日(月)
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熊本 小代ふもと窯 井上尚之展
井上尚之さんといえば
スリップウェアのうつわで、
とっても人気のあるつくり手であります。
長年作り続けたスリップ模様は
すっかり手馴れた様子でうつわの肌になじんでいます。
つい、模様に目がいきがちではありますが、
井上さんのうつわのよさは、
かたちではないかと思っています。
皿や鉢、湯のみポットなど、普段使いのうつわは
どれも心地よくラインがおさまっていて、
使えばやはりしっくりときます。
地震の影響を心配しましたが、
力のあるうつわが揃い、うれしいです。
井上さんも初日、2日目と会場に来られる予定です。
小代ふもと窯 井上尚之展
2016年9月9日(金)〜14日(水)
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森永豊 吹きガラス展
2年ぶりの森永さんのガラス展。
定番のコップやワイングラスなど
人気の高い品もあるのだけれど
個展に並ぶ、ちょっと不思議な雰囲気の作品が
やっぱり楽しみであります。
写真にある「三段ふたもの」など
何に使うか考える前に
身近にあると、きっと愛着がわくのではないか
という気がします。
今年も不思議な魅力をたたえた品々が届くと思うと、楽しみです。
森永さん工房風景 ちょっと秘密の小屋みたいです。
2016年7月22日(金)〜25日(月)
光原社 仙台店
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Tomoさんの服にはじめて触れたのは、2010年のこと。
東京で立ち寄った工芸店で
自然な色合いと風合いの
気持ちよさそうな服が眼につきました。
丁寧に仕立てられたシャツを手にとり
買い求めました。
お店の方に話をうかがってみると
タイで手つむぎされ、手織りによって作られている
デザイナーのTomoさんの品であるということでした。
Tomoさんのお兄さんが倉敷で販売を担当されているので
そちらへ連絡してみては、と教えてくれました。
それ以来、タイからお兄さんの元に新作が届くと
少しずつですが送ってもらうようになりました。
草木の色で染められたやわらかな色合いや
手つむぎの風合いは
どれも少しずつ異なり
毎回、届くのがとても楽しみでありました。
「できることなら、一度にいろいろな作品を見てみたい」
と声があがり、展示会をお願いしました。
それは、2年半前。
2011年4月に開催予定でした。
当然ながら
あの年の4月には展示会などできるはずもなく
やむなく中止に。
あれから2年半の歳月を経て
ようやく初めて会を開くことができます。
自然な色と、風合いと、丁寧な仕立て。
タイの人たちと力を合わせてつくられているTomoの服。
どうぞ手にとって、お確かめください。
Tomoの服展
2013年9月20日(金)〜26日(木)
Tomoナチュラルファブリクス
http://tomo.natural-fabrics.jp/Profile-Concept.html
窯元がたくさんです-5-
島根県を延々西へ。
益田市をすぎ、津和野町を横目に見ながら、
山口県へ入ります。
山間の田園や牧場が広がる中に、
舟木邦治さんの舟木窯がひっそりとあります。
舟木さんは島根県松江市の生まれで、
布志名焼、船木研児氏に師事されました。
当店で扱うやきものの中では
ちょっと異色の雰囲気です。
実用の中の美しさ、
というよりは暮らしの中の楽しさ。
ちょっと奇抜な形も色も、
舟木さんの暮らしぶりから生まれる楽しさ。
工房も住まいも作品もご自身も、
すべてに一本、筋が通っています。
窯元がたくさんです-4-
出雲市から車で約1時間。
出雲地方から石見地方へ文化圏が変わります。
大田市温泉津(ゆのつ)。
名前のとおりに港と温泉で栄えた町です。
趣のある温泉街をちょっと外れたところに、森山窯はあります。
河井寛次郎の最後の内弟子として知られる森山さん。
土もののぬくもりを感じさせながら、
実際に使ったときのぴたりと手になじむ感触は、
細部にまで心が配られているからと思います。
いつ伺っても掃除の行き届いた工房は、
凛とした空気が流れています。
飯椀 重さのバランスがとてもよいです。
ティーポット(小)
灰皿 最近は需要が少なくなりましたが、立派な形です。
定番のマグカップ
次はさらに西に向かい、山口県徳佐の舟木窯です。
窯元がたくさんです-3-
宍道湖を右手に、
西に向かってから山沿いへと向かいます。
雲南市三刀屋。
静かな山沿いに、石飛勝久さん、勲さん父子の「白磁工房」があります。
品のよい潤いを感じる勝久さんの作品は
数十年前から当店の定番。
後継の勲さんも勝久さんのよさを受け継ぎながら、
いまの感覚を取り入れた、誠実でたしかな仕事をしています。
呉須線文鉢 径18cm 勝久さん作 深みがあってやわらかい青。
それが、勝久さんの呉須の色。
徳利とぐい呑み 勝久さん作 お酒はもちろんですが、小さな花を飾りたくなる徳利です。
湯飲みとマグ 勝久さん作 面取り、しのぎ手の切れ味が心地よいです。
白磁香炉 勝久さん作 手のひらにおさまる香炉。
大切なものをしまっておく小物入れにもなりそうです。
白磁深皿と飯椀 勲さん作 深皿はスープ、パスタ、ごはんに。使うとわかる万能さです。
コップと碗皿 勲さん作 ていねいな仕事ぶりが伺えます。
呼び鈴 勲さん作 澄んだよい音がします
窯元がたくさんです -2-
袖師窯からクルマで西に30分。
山陰本線、玉造温泉駅まえの湯町窯。
青白いなまこ釉とガレナ釉といわれる黄色い釉薬で知られます。
洋食器が多く、スリップウェア、多様なマグ、ピッチャーなど、
この窯ならではの雰囲気を湛えています。
なまこ釉のボウルと皿 ふちの斜めしのぎとなまこ釉はよく合います。
櫛描きの飯椀と汁碗。なまこ釉とならぶとコントラストが鮮やかです。
窯元がたくさんです-1-
島根県は東西に長く伸びた中に、100軒ちかく窯元があるとか。
当店でもおつきあいのある窯が、いくつもあります。
そんなわけで年に一度は訪れる島根県。
今回もいろいろとよいものを選ぶことができました。
まずは松江市。
宍道湖のほとりの袖師窯。
日用のうつわを幅広く作る窯です。
渋いもの、ちょっとモダンな印象のもの。
いずれも実用での使い勝手は、とてもよいです。
新入荷品の中から、一部ご紹介します。
市松模様のカップと皿 径21cm
ふちの鉄釉と呉須の青が美しい皿 径18cm
小皿三種 「巴」「米」「つゆ草」の図柄(右上から時計まわり)
たっぷりふっくら番茶碗 どちらも梅紋
ちょっとクラシカルな絵付けのそば猪口。
宍道湖に浮かぶ嫁ヶ島が描かれています。
呉須釉しのぎカップ。
次回は、湯町窯を紹介します。
早いです
金継ぎセットなんかも売っていますが、
こっちの目的は、あくまでなるべく手間をかけずに
使える状態にすること。
ひとつに2週間も3週間もかかるようでは困ります。
用意するのは
?瞬間接着剤
?砥の粉(とのこ)
?うるし
あとは、カッターナイフと紙やすり。
こんなところです。
二つに割れてしまったのをくっつけるには
エポキシ系ボンドを使います。
欠けたところの修理ならば
1)瞬間接着剤を塗る
2)砥の粉をまいて固める
3)その上に瞬間接着剤をさらにのせて
4)その上にまた砥の粉をまいて固める
5)盛り上がってきたらカッターナイフで整形して
6)紙やすりで表面を整える
7)うるしで磨く
おしまい。
ふちのかけたぐい呑み。
使えなくはないけど、
やはり口や指に引っかかるので、まず使えないです。
紙やすりで滑らかにしたあと
うるしで磨くので
うるしにかぶれる人は何日か置いたほうがよいのでしょうが
かぶれない人なら、その日の夜には使えます。
調べたところ
瞬間接着剤もエポキシボンドも完全に硬化してしまえば
なめたくらいでは毒性はほとんど無いようですので
食器のふちや張り合わせるのに使うくらいでは
私はまったく安全と思っております。
(接着剤の但し書きには、食器には使うなと書いてあるので
その辺は自己判断ですね)
うるしを塗るのは、
砥の粉にしみこませて水に強くするためと
修理部分の表面のつやを整えるためです。
このやり方だと
慣れると、かなりの欠けまで(欠けた破片が無くても)修理できます。
今のところ使っていて剥がれたことは、まだありません。
本格的にやりたい方には、
解説本、金継ぎキットや金継ぎ教室もあるのでよいのですが、
とにかく実用!という方には、悪くないやり方だと思っています。
確立されたやり方というわけではないので
不具合が出たときの保障はできませんが
興味をお持ちの方は、どうぞ試してみてください。
トップにあった、バラバラだったすり鉢。
内側の部分は接着剤をうまく削り取れないので
すり鉢としてつかうのはどうか、というところですが
練習のため直してみました。
こういった張り合わせの時には
エポキシボンドを極力薄く塗るのがコツです。
たくさんつけると、どうしても継ぎ目に段差が出ます。
今回は段差をほとんど出さずにできたので、その点はよくできました。
食器として使わないものには
つなぎ目にラッカー塗料を塗って、金継ぎ風に。
手間のかかることをいとわず
あえて練込(ねりこみ)技法による
焼きものの道を選んだ七尾佳洋さん。
2012年11/16(金)〜20(火)の仙台光原社での作陶展にあわせて
初日となった16日(金)午後3〜4時に
「北海道の暮らしとやきもの」と題し
おはなしの会を開いていただきました。
焼きものの素地が凍えることもある北海道での暮らしぶり。
練り込み技法とは、どのように形づくられていくのか。
七尾さんご自身が撮影した画像をもとに、あれこれ。
手づくりされた12坪の工房は
地区のみなさんに協力してもらって完成したこと。
薪ストーブでの暮らしが半年続くこと。
ご自宅でたく薪にこだわり、釉薬の原料にする灰を得ていること。
無農薬栽培をされている山本さんの稲わらを灰釉にして
うつわにも「山本ワラ白釉土瓶」などと、名づけられていること。
練込の模様には、
マーブル
縞(しま)
縞を応用した鶉手(うずらで)とあり
「うずらで」は文字通りウズラの羽に似た模様だから、などなど。
ご参加いただいたみなさんからも、
その場、その場で、質問が上がる
うちとけた会となりました。
おはなしの会後、
すぐ隣の仙台光原社に戻ってからも
七尾さんを囲み、実際に焼きものを見ながら質問される方が多数。
その中でも話しこまれていた方々は……、
左奥から時計まわりに
七尾さん
白磁つくり手の五十嵐元次さん
宮城県民藝協会の白鳥幸昌さん・美紀子さんご夫妻
白磁つくり手の田代里見さんという
とても素敵なお顔ぶれです。
平日午後というお忙しい時間帯にも関わらず
お集まりいただいたみなさま、本当にありがとうございます。
ご準備くださった七尾さん、心から感謝申し上げます。ぜひまた!
七尾さんの作陶展は、11/20(火)まで続きます。
「食べものが、おいしく見える器」を
ぜひ手にとってお確かめください。
おはなしの会
2012年11/16(金) 15:00〜16:00
※会費500円(お茶とお菓子付き)
※11/9までにご予約ください。
仙台光原社 TEL 022-223-6674
仙台光原社となり 「ホテルベルエア仙台」 1Fレストラン
ミルフィーユのように
何層にも異なる土を重ねて生地をつくり
器に成形する「練込(ねりこみ)」という技法があります。
その技法によって器をつくる七尾佳洋さんは
2008年日本民藝館展の奨励賞を受賞された、若きつくり手。
生まれ育った函館から沖縄県立芸術大へとすすみ
そこで民藝の思想に出会い
丹波の陶芸家・柴田雅章さんに師事。
ふたたび函館に戻り、ご自身で工房を建て、作陶しています。
北の地で生みだされる練込の器は
木目のように自然で
心をしずめるような落ち着きがあります。
ささっとつくったパスタやお菜も
ごちそうに見せてくれる器たち。
その器がどのようにつくられ
どうして、その落ち着きが生まれるのか
おはなしから見えてくるものがあるはずです。
写真が趣味という七尾さんが撮影された画像も
一緒にお楽しみください。
※席に限りがありますので、
早めのご予約をおすすめします。
仙台光原社
仙台市青葉区一番町一丁目4-10
TEL 022-223-6674
10:00 〜18:30
今回その機会を得られたのが、なによりうれしいことです。
北窯の赤絵を、どうぞ手にとってご覧ください。
こちらは、嘉瓶(ゆしびん)。
ひょうたん形の酒器です。
沖縄ではお祝いがあると、泡盛を入れて贈り先に届け、
なかの泡盛だけ差し上げ、瓶は持ち返ったとか。
眺めているだけで心地よくなる形は、オブジェにも、花瓶にも、楽しめそうです。
このほかにも、あんびん、ワンブーなど。
沖縄ならではの呼び名や使い方について
やちむんを前に米司さんが紹介。
秋が近づいてきた仙台で、北窯の風が感じられそうです。
土の扱いかたは、やさしく、やさしく、丁寧。
赤ちゃんの肌をさわるような触れかたです。
その理由は、「難しい土だから」。
沖縄の土は、粘りが少なく、やわらかく、扱いが難しい。
この土の性質を生かして、ぽってりしたやちむんが生まれます。
北窯では、土も、釉薬も、技法も、沖縄で生まれたものだけが使われています。
※明日は、北窯の赤絵を紹介します。
読谷村にある「北窯」は、4人の親方が力を合わせて開いた共同窯。
窯を開いて今年がちょうど20年目にあたります。
北窯の親方4人のうち、おふたりが松田米司さん(左)と共司さん(右)。
笑顔が似ているのは、双子の兄弟だから。
おふたりが36歳のとき、北窯の歴史ははじまりました。
自分で登り窯を設計し、つくりかたを研究。
つくるときには、村のおじい、おばあ、子どもたちも手伝いに来てくれたといいます。
窯が完成したのは、約2年後のこと。
その規模は、沖縄県内でも最大。
傾斜を利用して階段状につくった登り窯には、13室が連なっています。
手で薪をくべて焼く昔ながらの方法で、
まず下段の1室目にある焚き口で18時間、火を焚きます。
すべての室に熱が行き渡ったら
さらに、2室目から13室目まで、3〜5時間ずつ順に焚いて温度を上げていきます。
休むことなく火を焚き続けること、のべ4日間。
手間と時間がかかります。
温度設定ができないため、仕上がりが一定ではなく、製品にならないものも出てきます。
ガス窯や電気窯に比べれば、効率はよくありません。
それでも、合理性や効率性では得られない
ひとつひとつ異なる肌合いや、あたたかみのある風合いがあります。
火入れの前には、登り窯に泡盛と米をお供えします。
「良いやちむんが焼けますように」ではなく、
「健康なやちむんが生まれますように」と祈りをこめて。
神さまに、自然に、まかせます。
登り窯の脇には、ガジュマルの木。
釉薬に使う灰をとるため、窯を開くときに植えたもの。
20年経って、こんなに大きく茂っています。
※明日は、沖縄の土のこと、技のことを紹介します。
雑誌やウエブで紹介されることが多い
読谷山焼 北窯のやちむん(焼物)は
ここ数年とても人気が高く、入荷待ちといった状況です。
それが今回は、ずらりと並ぶやちむんの数々。
さまざま取りそろえた中からお選びいただけます。
9/14(金)・15(土)には
読谷村の北窯から松田米司さんが、仙台光原社へお越しに。
やちむんの歴史に忠実な作風といわれる米司さんに
直接お話をうかがえます。
北窯にうかがうと、いつも太陽のような笑顔で迎えてくださる松田米司さん(中央)。
松田米司工房のみなさん(左奥が米司さん)。
若手がたくさん、あったかい雰囲気です。
※明日は、読谷村にある「北窯」を紹介します。
このところの暑さはありますが
睡蓮鉢のきんぎょは、とても元気。
葉っぱの陰で休んでは
ときおり陽射しをあびに顔をのぞかせます。
涼やかさを、ちょっとおすそわけしますね。
「弘前の金魚ねぷた」もぷかぷか。
東北は、いよいよ夏祭りの季節です。
どうして「売れない」と頭につくのかというと、
売れないほうが本物っぽく思えたからだ。
ガラス作家になるということは、
半ばは詩人になるというようなものだから、
とりあえずは夢がかなったということになる。
上の文は今回の案内状のあいさつに、森永さんが寄せてくれたものです。
森永さんの文には心なごむ味わいがあり、
ブログなども楽しみにしています。
今回の作品展も心に伝わるものがある、
森永ワールドが広がるはずです。
ぜひ感じていただければ幸いです。
森永豊 吹きガラス展
2012年7月6日〜12日
7日午後〜8日、森永さんが来場されます。
尚之さんが生まれた熊本県荒尾市。
そこは、お父さまの泰秋さんが、ふもと窯をひらいたところ。
そして、「念ずれば花ひらく」で知られる詩人、坂村真民さんの出身地でもあります。
尚之さんの父、泰秋さんは
小代焼の名工であるとともに、真民さんのことばに強く影響を受け、交流のあった方。
ふもと窯の館内には、真民さんのことばが、いくつも貼り出されています。
もしかしたら、まっすぐに熱くつくり続ける尚之さんの姿勢にも
影響しているのかも、と思えるほど
その詩には、真摯な思いがみなぎっています。
そして、仙台光原社の店内にいつも掲げているのも、真民さん直筆の書。
宮城県民芸協会の会長だった門脇允元さんを通して
真民さんとのご縁を得て以来、掲げています。
よい出会いの場となることを願って。
5月18日午後〜19日午前、井上尚之さんが仙台光原社にいらっしゃいます。
尚之さんの仕事場は、熊本にある小岱山のふもと。
小代焼の名工である父・泰秋さんがつくられた「ふもと窯」には、
泰秋さんと尚之さんも含め、5人のつくり手がいます。
仕事場では、つなぎ姿
6室ある登り窯に火入れするのは、月2回。
薪でたく登り窯は、薪ひとつで形や色合いが変わってくるため、
釉薬の溶け具合や焼け具合が異なります。
そこが、土もののおもしろさでもあるのですが、
釉薬が溶けすぎるなど、出荷できない仕上がりになってしまうものも。
「正直、6割ぐらいしかとれませんが
10割とるんだという気持ちをもっておけば、6割以上とれますから。
窯が母なら、焼き上がったものは、自分の子どものような感じ」
5人の子の父である尚之さんにとって
焼きものも、自分の子どもたち。
今回、どんな子どもたちを仙台に迎えられるのか
とても待ち遠しいところです。
※次回は、尚之さんと仙台光原社の「思いがけないご縁」について紹介します。
若きつくり手である尚之さんの作風を代表するのが
「スリップウェア」です。
(写真/左上)スリップ楕円皿(24cm)4,410円 (中)ミルクピッチャー1260円 (右上)ポット小5,670円
(写真/左下)スリップ楕円皿(20cm)2,520円 (右下)スリップ角深皿(21cm)6,300円
スリップウェアとは、イギリスの古陶の技法のこと。
赤や白の化粧土(スリップ)を用い、
一色を全体に掛け、もう一色をスポイトから垂らして模様を描きます。
師匠である小石原焼の太田哲三さんから
刷毛目やポン描きなど、さまざまな技法を教わりました。
そのポン描きが、化粧土をスポイトで垂らしていくスリップウェアと似た手法。
スリップウェアを知り、のめり込んでいきました。
どこかモダンな表情。
パスタやキッシュ、煮物や和えものにも、よく合います。
きめ細やかなもの
しゃりしゃりした藻塩など、
見た目も、味わいも、口どけも
ちょっとずつ違います。
その違いがわかりやすいのが、塩むすび。
ひとつずつ塩の種類をかえ、
ひと口大のおむすびをつくって食べ比べると
けっこう違いがわかります。
あっこれは、にがりがきいてる。
これはまろやか、などなど。
なんとなく感覚でつかんだら、
やさしい塩味のものはパンケーキの隠し味に、
大きな粒で塩味がたっているものは肉料理にと
ちょっと、こだわってみたりして。
その割には、
それほど違いがわからないのだけれど、
いくつも並んだ塩壺を見ているだけで楽しくなって
台所に行くたびに、ちらり、またちらりと、眺めています。
太平洋戦争末期、京都にいた河井先生は、
東京も大阪も神戸も、主要な都市は皆やられてしまって、
自分が毎日暮らしている京都も、
「明日には見られなくなるかもしれない」と
毎日近所の高台に上って
京都の街を見ていたそうです。
何とも言いようのない気持ちで眺めている時、
「なんだ、なんということだ。
これでいいのだ。
焼かれようが殺されようが、それでいいのだ」
「なんだ、なんだ、
これで調和しているのだ。
そうなのだ」
そういう思いに打たれたというのです。
それからは空襲警報が鳴っても
「不安の中で平安」という状態で過ごせたと。
そんな矛盾した気持ちの答えを、
虫に葉っぱを食われて丸坊主になった木を見て気づいた、という文が
この本のタイトルにもなっている
『蝶が飛ぶ、葉っぱが飛ぶ』という随筆です。
ああそうなのか!と納得できたわけではないです。
正直よくわかりません。
でも、ひとつの真理があるのだろう、と感じました。
理解ではなく、感じただけです。
河井先生が、ひとつの悟りを得た瞬間だったのでしょう。
この文章の結びは
「この世このまま大調和」
です。
箸と箸置き 木目のようなデザインのお皿
小鹿田焼のコーヒーカップの横に添えられた
スプーンを見たとき。
すこし渋くくすんだ風合いと、
手にしたときの、ほどよい重さ。
その見ためと肌ざわりの、あたたかさでした。
右は新品の輝き、左は風合いのあるくすんだ輝き。新品の状態を保ちたい方は、
酢に漬けたり、金属みがきで磨いたりすれば、そのままの輝きに
真鍮もののつくり手である菊地流架(ルカ)さんは
「使っていくうちに色が変わっていくのが楽しい」と言います。
金メッキのようにはげることもなく
ステンレスのように硬質でもなく。
ほっとひと息つきたくなる、そんな風合い。
流架さんは、
スプーン、お皿、アクセサリーなど、
その素材に合うほどよい厚みを見つけ出し、切って、叩いて、
ダイヤモンドやすりでこすって仕上げます。
切って、叩いて、道具で細工をして、一つひとつ手作業で仕上げます
スプーンの面取りも手でなされるからでしょう。
口にふれる感じさえしないのは、不思議なくらい。
土もののお皿にスプーンがふれたときも、
カチカチ音がしないのも、とても気分がいいものです。
小さなスプーンは
「プリンやヨーグルト、子どものたまごごはん」にもいいそう。
4歳と2歳の子のパパである流架さんらしい
つかい方のアドバイスも聞けるのが、
3/16(金)〜22(木)の「木と金の二人展 伊藤玲 菊地流架」です。
仙台光原社での初めての展示会にあわせて
3/17(土)・18(日)には、流架さんが来られます。
スプーンやフォークをはじめ、真鍮スケール、アクセサリー、
燭台やハンガーなど、部屋のしゃれたインテリアになるものも登場しそうです。